抄録
症例は81歳,女性.27歳で腸の手術を受けたが詳細不明である.80歳で抗アクアポリン4抗体陽性視神経脊髄炎に対してステロイドパルス療法を受け,以後PSL 15mg/日で維持されていた.今回腹痛と嘔吐を主訴に入院し保存的治療を受けた.第3病日に腹痛の増悪とCRP 32.91mg/dl,WBC 10,000/μlと著明な炎症反応を認め,造影CTにて右上腹部の膿瘍腔と膿瘍腔内部のエアーを認めた.消化管穿孔性腹膜炎の診断で緊急開腹術を施行した.穿孔部位は確認できなかったが,責任病変と思われる過去の手術の吻合部を切除した.切除した吻合部は小腸大腸の側側吻合で,大腸側の盲端部分でプラスチック製袋状容器の切れ端が穿孔していた.本来穿孔を形成しそうもない柔らかい異物であるが,ステロイドおよび腸管の吻合様式によっての異物滞留から,最終的に穿孔を引き起こしたものと考えられた.