日本臨床外科学会雑誌
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症例
成人に発症した後天性大腸閉鎖症の1例
笠原 康平長嶺 弘太郎亀田 久仁郎島 秀栄藤井 一博久保 章竹川 義則
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2013 年 74 巻 2 号 p. 447-452

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抄録
症例は67歳の女性で,54歳時に全身性強皮症を指摘された.65歳時に強皮症に伴う大腸偽閉塞症と診断され保存的治療で軽快していたが,発症7カ月後の再発時は軽快せず双口式横行結腸人工肛門造設術が施行された.手術の1年4カ月後に腹痛を主訴に当院を受診した.下部消化管造影や下部内視鏡,腹部CTで結腸捻転や狭窄を含む腸管通過障害が疑われ手術を施行した.開腹すると盲腸から上行結腸は後腹膜に固定性されておらず,人工肛門を軸に180度時計回りに捻転し閉塞機転となっていた.さらに脾彎曲結腸は口側,肛門側ともに盲端で,後天性大腸閉鎖症と診断し,結腸亜全摘,回腸人工肛門造設術を施行した.在宅中心静脈栄養療法を併用し退院となったが,徐々に経口摂取量の増加がみられている.後天性大腸閉鎖症は成人では極めてまれな疾患で,本例では結腸捻転により虚血性腸管壊死をきたし,修復機転で腸管閉鎖が生じたと考えられた.
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© 2013 日本臨床外科学会
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