日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔内出血で発症した非機能性膵神経内分泌腫瘍の1例
津田 一郎森田 恒彦柴崎 晋戸井 博史中村 貴久長谷 泰司
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2013 年 74 巻 2 号 p. 522-528

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抄録

膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor,pNET)はまれな疾患であるが近年の検診制度の向上により症例が増加し,注目を集めている.非機能性pNETは無症状のまま経過することが多いが,腹腔内出血として発症した症例を経験した.症例は62歳女性.突然の心窩部痛を主訴に来院した.左上腹部に筋性防御と血液検査所見でHb 12.5g/dlと貧血を認め,腹部造影CTで膵尾部に強く造影される80mm大の腫瘤と血性腹水を認め入院した.ホルモン過剰症状を示さない非機能性pNETによる腹腔内出血と診断し,待機的に膵体尾部脾合併切除を施行した.摘出標本の割面には出血巣が散在していた.病理組織検査でwell differentiated neuroendocrine tumor,G2と診断された.術後5カ月に多発肝転移の出現を認めたが,自然経過を観察し術後48カ月で腫瘍死した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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