抄録
肝硬変による腹水を伴った成人臍ヘルニアは,高率に嵌頓を合併し緊急手術となる可能性が高い.嵌頓を回避するためには,安全に待機手術を行うことが望まれる.今回われわれは,肝硬変症による大量腹水を伴った臍ヘルニア4例を経験したので報告する.内訳は,症例1:49歳女性,症例2:42歳男性,症例3:73歳男性,症例4:47歳女性であり,症例3のみがC型肝硬変症,他の3例はアルコール性肝硬変症であった.手術方法は,局所麻酔下に臍を中心として円状に皮膚切開を行った後,ヘルニア嚢の切除を行いヘルニア門にVentralex Hernia Patch®(以下VHP)を挿入し展開,固定した.合併症は,1例に創部から腹水の漏出を認めたが,重篤なものはなかった.術後1年経過後も全例で再発はなかった.以上より大量腹水を伴う肝硬変症に併発した症例に対しても,局所麻酔下にVHPを使用することで安全に待機的な手術が可能であった.