日本臨床外科学会雑誌
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症例
一期的手術を行った腹部大動脈瘤と虫垂粘液嚢腫併存の1例
藤川 幸一寺澤 無我佐々木 健牧野 治文山本 穰司中山 順今
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2013 年 74 巻 3 号 p. 650-653

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抄録

症例は59歳,男性.下腹部痛にて近医受診し虫垂炎の診断で当科へ紹介受診した.腹部造影CT検査にて51×39mmに緊満腫大した虫垂および72×72mmの紡錘型腹部大動脈瘤が発見された.腹部大動脈瘤と虫垂粘液嚢腫の合併と診断し両疾患とも破裂の危険性ありと考え一期的手術を選択した.まず腹部大動脈瘤に対し瘤切除術,Y型人工血管置換術を施行し残存瘤壁で人工血管を被覆し後腹膜を閉鎖した後,虫垂切除術を施行した.術後経過は良好で術後19病日目に退院された.
従来,腹部大動脈瘤と腹部消化器外科疾患の合併例に対して,人工血管感染の危険性を考慮し二期的手術が行われてきた.近年では腹部大動脈瘤と様々な腹部消化器疾患の合併に対し一期的手術が行われるようになってきたが,まだ定まった見解は得られていない.今回,われわれは腹部大動脈瘤と虫垂粘液嚢腫に対し一期的手術を行った経験を得たので文献的考察を加え報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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