2013 年 74 巻 3 号 p. 658-662
症例は17歳,女性.右前胸部に圧痛を伴いながら急速に増大する腫瘤を認め受診.胸部CTにて右第5,6肋骨の胸骨接合部付近から皮下へ突出する3cm大の腫瘤を認めた.組織生検にて軟骨肉腫と診断され,肋骨,胸骨含めた胸壁に加え横隔膜も一部合併切除した広範囲切除術を施行した.胸壁欠損部に対して人工材料および広背筋皮弁を使用することで強度・整容性を維持した再建が可能であった.切除標本の病理組織診断結果はGrade 1の軟骨肉腫であり,切除断端は陰性であった.現在術後33カ月経過するが,再発なく経過良好である.比較的若年期に発症した稀な胸壁軟骨肉腫と考えられたため文献的考察を含め報告する.