日本臨床外科学会雑誌
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症例
診断に苦慮した単発性肝類上皮血管内皮腫の1例
中村 啓之近藤 典子山内 淳一郎石山 秀一
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キーワード: 肝類上皮血管内皮腫
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2013 年 74 巻 4 号 p. 1003-1009

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抄録

症例は72歳,男性.前立腺癌で他院通院中,上気道炎症状精査目的の胸部造影CTにて肝S6/7に4cm大で辺縁富血性,中心部石灰化および周囲肝内胆管拡張を伴った腫瘍を指摘された.EOB-MRI・DSA所見もふまえ,肝内胆管癌と診断した.多発性骨腫瘍も認めたが,骨硬化性にて前立腺癌の転移と診断,予後規定因子と考えられる肝がん治療の方針となり肝後区域切除術を施行.切除標本上腫瘍は50×40mm,白色で周囲弾性硬・中心部石様硬であり,被膜を認めず.病理組織学的には中央に硝子様線維化を認め,辺縁に短紡錘形細胞の増生を認めた.周囲肝実質・肝静脈・門脈の破壊・侵襲像も認めた(s1,vv1,vp1).免疫組織学的にCK(-),CD34(+) (S100p(-),HMB45(-))であり,最終的にstage III(t3,n0,m0)の肝類上皮血管内皮腫と診断した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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