日本臨床外科学会雑誌
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症例
門脈内腫瘍栓を伴った非機能性膵内分泌癌の1例
田島 ジェシー雄足立 尊仁松井 聡波頭 経明山田 誠山田 鉄也
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2013 年 74 巻 4 号 p. 1047-1052

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抄録

症例は63歳,男性.上腹部を主訴に近医を受診し,肝機能異常と黄疸を指摘され当院を受診した.精査にて総胆管結石と,膵体尾部に11.7×10.5cm大の充実性多血性腫瘍を認め,脾静脈を経由し,門脈腫瘍栓として進展していた.Fine Needle Aspiration(以下FNA)生検にてCD56,chromogranin A陽性で膵内分泌癌と術前診断し,門脈合併膵体尾部・脾切除術を施行した.病理組織学的に索状・リボン状配列を形成する異型細胞増殖,著明な脈管浸潤を認め,脾静脈・下腸管膜静脈・門脈に腫瘍栓を認めた.免疫染色ではKi67 indexは2%以下,CD56,chromogranin Aは陽性,膵ホルモンはいずれも陰性で,非機能性高分化型膵内分泌癌と診断した.術後13カ月経過し無再発生存中である.門脈腫瘍栓を伴う非機能性膵内分泌癌の報告例は少なく,若干の文献的考察を含め報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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