抄録
腹直筋皮弁で再建した直腸癌によるFournier壊疽の1例を報告する.79歳男性.糖尿病,アルコール依存症で経過観察されていた.陰嚢痛で泌尿器科を受診し,Fournier壊疽と診断された.陰嚢切開ドレナージを行い,その後の精査で直腸癌と診断された.感染コントロール目的にS状結腸人工肛門造設し,全身状態の改善を待ち,腹会陰式直腸切断術を施行した.手術により生じた広範囲会陰部欠損に対し,右腹直筋皮弁で閉鎖した.皮弁の生着は良好で,感染徴候も認めなかった.本例のように会陰部の広範囲炎症を伴う直腸癌に対し,広範囲会陰部欠損を伴う腹会陰式直腸切断術を行う必要がある.患者の基礎疾患および骨盤腔内の感染防御の点から腹直筋皮弁による再建術は有用であると考えられた.