抄録
CTで術前診断した右大腿ヘルニア内虫垂嵌頓の1例を経験したので報告する.症例は70歳の女性で,右鼠径部膨隆を主訴に当院を受診した.右鼠径部に弾性軟で,還納不可な腫瘤を触知した.血液検査では炎症所見は認めなかった.腹部単純CTにて,右大腿ヘルニア嚢内に盲端に終わる虫垂を認め,右大腿ヘルニア内虫垂嵌頓と診断し,同日手術を施行した.術中所見ではヘルニア嚢内に虫垂が嵌頓し,虚血性変化を認めた.同一創より虫垂を切除し,mesh plugを用いて右大腿ヘルニア修復術を施行した.術後経過良好にて第4病日に退院となった.大腿ヘルニア内虫垂嵌頓はまれであり,古典的な虫垂炎の身体所見を認めず,診断が困難である.術前診断にはCTでの画像診断は有用である.今回,本邦報告22例に自験例を含め,文献的考察を加え報告する.