日本臨床外科学会雑誌
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症例
索状物の牽引により発症した回腸穿孔の1例
金 成泰今村 容子川口 雄才北出 浩章中井 宏治高田 秀穂
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2007 年 68 巻 3 号 p. 595-598

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抄録

症例は81歳, 女性. 平成18年1月31日突然の腹痛が出現し, 同2月2日になっても腹痛が持続したため当院へ救急搬送された. 腹部単純X線撮影ではfree airを認め, 腹部CTでは上行結腸が拡張し結腸周囲にfluid collectionが認められた. まずは上行結腸の穿孔が疑われた. 同日緊急手術を施行した. 穿孔部は回腸末端より50cmの回腸であった. 穿孔部漿膜に連続して25cmの索状物が存在した. 索状物のもう一端は, 穿孔部より150cm口側の小腸間膜に付着していた. 回腸部分切除術を施行した. 穿孔部径は2mmで粘膜面は肉眼的に正常であった. 術後経過良好にて同2月14日に退院した. 索状物の付着部である小腸が穿孔し, 且つ索状物が小腸間膜をまたぐ形で存在した, 非常に興味深い症例であった. われわれが検索しえた範囲では同様の症例は報告されていない. 若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2007 日本臨床外科学会
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