日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
胸腔鏡下食道切除術後の頻脈性不整脈における塩酸ランジオロールの有用性
岡本 浩一二宮 致丸銭 祥吾牧野 勇藤村 隆太田 哲生
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2013 年 74 巻 4 号 p. 874-879

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抄録

食道癌手術後の頻脈性不整脈は,鏡視下手術を導入してなお,高率な発生率と術後経過に及ぼす影響の重大さから軽視できない合併症である.鏡視下食道癌手術後の術後頻脈性不整脈に対して短時間作用型β1選択的遮断薬であるランジオロールを使用した28例におけるバイタルサインと術後合併症,術後在院日数を後方視的に検討した.ランジオロール投与により開始1時間後には平均143.1/分から117.5/分へと有意に脈拍数の低下を認めた.投与開始後,平均9.1時間で速やかに洞調律に復帰した.投与による血圧低下や呼吸状態の悪化は認めなかった.術後合併症発生は57.1%,術後在院日数は平均50日で,頻脈を発症しなかった症例と比較して有意差を認めなかった.結語:鏡視下食道切除術後の頻脈性不整脈において,ランジオロールは,安全性・簡便性・調節性に優れ,有用な薬剤であると考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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