日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後遺残膿瘍との鑑別が困難であった腸間膜原発悪性リンパ腫の1例
三野 和宏片山 知也今 裕史岩崎 沙理鈴木 昭小池 雅彦
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キーワード: 悪性リンパ腫, 腸間膜, 膿瘍
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2013 年 74 巻 4 号 p. 962-967

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抄録

症例は53歳の女性で,胃粘膜下腫瘍に対し腹腔鏡補助下幽門側胃切除を施行し,胃異所性膵の診断であった.術後3カ月目に腹部全体の鈍痛が出現したためCT検査を行ったところ,腹腔内に膿瘍様の腫瘤が認められた.抗菌薬内服で経過観察としたところ腫瘤は縮小し,腹痛も軽快した.腫瘤は移動性であり,腸間膜病変が疑われた.抗菌薬中止後も腫瘤は縮小を続けたが,初回CTから6カ月目のCTにて新たに傍大動脈リンパ節腫大が出現した.悪性リンパ腫を念頭に置き,開腹生検を施行した.移動性の病変は腫大した腸間膜リンパ節であった.病理組織学的検査結果所見は,腸間膜リンパ節,傍大動脈リンパ節ともにdiffuse large B-cell lymphomaであった.術後10カ月現在,R-CHOP療法8コース施行し完全寛解を維持している.CT所見と経過から,術後膿瘍との鑑別に苦慮した症例であった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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