日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
縮小と増大をくり返した成人結腸重複症の1例
畠 達夫坂田 直昭海野 倫明
著者情報
キーワード: 結腸重複症, 嚢腫様病変, CT
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 4 号 p. 977-981

詳細
抄録

症例は39歳,女性.腹痛を主訴に前医を受診した.CT検査では上行結腸の腸間膜側に管腔内外へ突出する最大径88mmの嚢腫様病変を認めたが,嚢腫は自然縮小し腹部症状も消失したため,経過観察の方針となり当科紹介となった.病変縮小時は上行結腸内腔に突出する所見は消失し,注腸造影検査では腸間膜側に壁外突出する憩室様の壁変形を認めた.初発症状の2年後,腹痛が出現したため再度精査したところ,病変の増大を認め,上行結腸内腔は高度に圧排されていた.腹痛の増大,再燃の可能性もあり回盲部切除術を施行した.病理組織検査では嚢腫様病変の内腔は結腸粘膜上皮に覆われ,平滑筋層を伴っており,正常腸管内腔との交通は認めないことから,球状型・非交通性の結腸重複症と診断した.術前診断の困難な非交通性の結腸重複症の画像診断において,本症例が示した特徴的な画像所見は術前診断に有用と考えられる.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top