日本臨床外科学会雑誌
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症例
高CPK血症と急性腎不全をきたしたMcKittrick Wheelock syndromeの1例
大川 尚臣金川 泰一朗小畑 卓司野上 浩實
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2013 年 74 巻 4 号 p. 982-988

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抄録
症例は68歳,男性.1週間前より1日10行以上の下痢と食欲不振を主訴に来院した.顕著な脱水と電解質異常(低Na,K,Cl血症),それに伴う腎機能障害を認め入院となった.補液による脱水の補正を試みたが,けいれん発作,意識障害および高CPK血症をきたし,急性腎不全へ進行したため血液透析を行った.全身状態は次第に改善したが,粘液下痢が1日6~8回持続していた.大腸内視鏡検査で肛門縁から1~10cmの直腸に大量の粘液と全周性の絨毛腫瘍を認めた.大腸絨毛腫瘍が粘液を大量に分泌し,脱水や電解質異常をきたす稀な病態であるMcKittrick Wheelock syndrome(以下MWS)が知られており,この症例もMWSと診断し,手術を施行した.術後は速やかに症状改善し,約1年3カ月無再発生存中である.自験例は電解質異常と高CPK血症を伴い,透析を要した稀な症例であるので文献的考察を加え報告する.
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© 2013 日本臨床外科学会
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