抄録
12歳女児に発生した乳腺若年性線維腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.半年前に右乳房に腫瘤を自覚していたが,腫瘤が縮小しなかったため近医小児科を受診,精査のため当院外来を受診した.右乳房に7cm大の弾性硬,辺縁平滑,可動性のある腫瘤を触知した.乳房超音波検査では7×6cmの境界明瞭な内部不均一,低エコーの腫瘤を認めた.穿刺吸引細胞診では悪性像は認めず,乳管上皮細胞と間質成分を認めた.画像所見からは良性腫瘍が疑われ,大きな腫瘤であったため,腫瘤摘出術を施行した.病理組織学的検査では若年性線維腺腫であった.術後経過は良好であり,乳房の変形は軽度である.小児における若年性線維腺腫は稀であり,特に学童期(12歳以下)までの報告例は少ない.本症は良性疾患であり,乳房が発達段階にある小児においては,乳腺組織をできるだけ温存することが重要と考えられた.