日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
男性乳腺に発生した明細胞汗腺腫の1例
緒方 秀昭金沢 真作斉藤 芙美久保田 伊哉密田 亜希金子 弘真
著者情報
キーワード: 明細胞汗腺腫, 乳腺
ジャーナル フリー

2013 年 74 巻 5 号 p. 1193-1197

詳細
抄録

男性乳腺に発生した明細胞汗腺腫を経験したので報告する.症例は38歳男性.右乳腺の血性乳頭分泌と腫瘤を主訴に来院した.診察所見は右乳輪下に径1.5cm,境界明瞭かつ可動性良好な楕円形腫瘤を触知し,乳頭分泌は淡血性で単孔性であった.マンモグラフィー所見は境界明瞭な腫瘤性陰影として,超音波所見は拡張乳管内に存在する内部エコー不均一な腫瘤として描出された.針生検所見より皮膚付属器由来の新生物が示唆され,外科生検で乳腺発生の明細胞汗腺腫と診断した.検索しえた乳房発生の明細胞汗腺腫は,本邦および海外で30例.これら既報例からその臨床的特徴を検討すると,乳癌に比し男性発生頻度が高く,発症年齢に特異的分布はなく,乳輪近傍に好発する嚢胞性病変である傾向があった.

著者関連情報
© 2013 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top