抄録
症例は69歳,男性.左下腹部痛を主訴に近医を受診し,腹部CTにてS状結腸に壁外発育型の腫瘍を認めたため,精査加療目的に当院へ紹介となった.内視鏡検査時の生検では診断が得られなかったが,画像所見よりGISTなどの悪性腫瘍を疑い手術を施行した.病理組織学的検査の結果,内分泌細胞癌の所見は認めず,S状結腸未分化癌と診断された.se,n0,H0,P0,M0,stage IIであった.術後約1カ月で癌性腹膜炎による全身状態の悪化を認め近医へ入院.化学療法を導入することなく,術後2カ月で癌死した.
大腸における未分化癌は非常に稀で,その予後は極めて不良とする報告が多い.また,大腸癌のうち壁外発育するものは比較的稀で,初期には腸管内腔が保たれるため症状を呈しにくく増大してから発見されることが多い.根治手術後2カ月で死亡という急な経過をとった壁外発育型S状結腸未分化癌の1例を経験したので報告する.