日本臨床外科学会雑誌
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症例
所属リンパ節にも内膜組織を認めた直腸子宮内膜症の1例
平宇 健治橋本 正治平野 裕佐々木 晋一中村 征勝中津 敏允
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2013 年 74 巻 5 号 p. 1326-1330

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抄録

腸管子宮内膜症は,子宮内膜組織が腸管壁内で異所性に増殖して様々な臨床症状をきたす良性疾患である.しかし,腫瘍的性格を有し,前癌病変となる可能性がある.今回われわれは,所属リンパ節にも内膜組織を認めた直腸子宮内膜症の1切除例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は44歳の女性で,腹部膨満感・腹痛を主訴に当院を受診.S状結腸内視鏡で,直腸S状部に内腔狭窄をきたす乳頭状ポリープの集簇を認めた.生検では再生性変化と考えられ,悪性所見は認めなかった.CTでは,直腸S状部に全周性壁肥厚を認め,口側腸管の著明な拡張を認めた.以上より,診断未確定ではあるが,直腸腫瘍による腸閉塞が強く疑われたため,リンパ節郭清を伴う低位前方切除術を行った.病理組織学的に,粘膜下層や固有筋層,漿膜下組織に増殖期子宮内膜腺に類似した腺管を認め,腸管子宮内膜症と診断した.また,病変周囲リンパ節にも腺管構造を認めた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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