2013 年 74 巻 6 号 p. 1499-1505
胃癌手術Roux-en-Y再建後の内ヘルニアによるイレウスの5例を報告する.初回手術は胃全摘2例,幽門側胃切除2例,腹腔鏡補助下幽門側胃切除1例であった.全例で,CTにて腸管のcaliber changeおよび腸間膜血管の渦巻き所見(whirl sign)がみられ,Roux-en-Y吻合部の腸間膜間隙への内ヘルニアであった.緊急手術の3例は開腹で施行されたが,反復症状で待機手術となった2例は腹腔鏡下内ヘルニア整復術が施行可能であった.5例とも腸管整復後にヘルニア門の腸間膜間隙を縫合閉鎖し,再発を認めていない.当科において胃癌Roux-en-Y再建例の内ヘルニア発症率は1.6%(5/313)であり,発症例は全例腸間膜間隙の縫合閉鎖が施行されていなかった.胃癌手術においてRoux-en-Y再建を施行する場合は,Roux-en-Y吻合部の腸間膜間隙の縫合閉鎖は必須の手技とすべきである.