日本臨床外科学会雑誌
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症例
空腸に発生したNK/T細胞リンパ腫(径18cm)の1例
原 修露久保 辰夫土屋 隆
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2013 年 74 巻 6 号 p. 1568-1572

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抄録

症例は70歳男性,主訴は腹部膨満感,近医より紹介され受診.来院時の腹部CTにて左上腹部に最大径約18cmの巨大腫瘤を認めた.空腸から発生した悪性リンパ腫が最も疑われ,膵,左尿管,下行結腸などへの浸潤も疑われた.上部消化管内視鏡にてTreitz靱帯近傍の空腸より肛門側に向かい全周性の不整形潰瘍を認め,内腔は嚢状に拡張していた.生検組織診にてT細胞リンパ腫の診断となる.小腸造影では空腸に巨大な動脈瘤型の腫瘍認めたが,単発性であると判断され,FDG-PETでも他臓器への転移は認められなかった.以上より,空腸に発生した巨大な悪性リンパ腫の診断にて手術施行した.周囲への浸潤著しく,小腸切除術に膵体尾・脾・左腎尿管・下行結腸などの合併切除を加え摘出した.切除標本の病理組織学的検索では,びまん性の悪性リンパ腫で,免疫染色にてCD3,CD56に強陽性を示し,NK/T細胞リンパ腫と診断された.

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© 2013 日本臨床外科学会
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