抄録
症例は74歳,男性.心窩部痛を主訴に当院救急外来を受診し,血液検査所見で炎症反応と血清および尿中アミラーゼの上昇を認め,急性膵炎と診断し緊急入院となった.初診時の腹部CTでは主膵管と下部胆管が拡張し,膵尾部に低吸収域を認めた.入院後に腹膜刺激症状が出現し再度施行した腹部CTで腹腔内に液体貯留を認め,胆嚢穿孔による胆汁性腹膜炎と診断し経皮経肝胆嚢ドレナージおよび腹腔内ドレナージを施行した.各検査所見から膵管内乳頭粘液性腫瘍と術前診断し,全身状態の回復後に胆嚢摘出術,膵体尾部・脾摘術を施行した.膵腫瘍は24mm×20mm大,病理診断は膵尾部主膵管および分枝膵管を主座とする混合型膵管内乳頭粘液性腺腫であった.膵管内乳頭粘液性腫瘍に胆嚢穿孔が合併した報告はないが,本症例においては腫瘍産生粘液により膵・胆道系の内圧が上昇し,胆汁のうっ滞および膵液の胆道内逆流が発生したことが原因であると考えられる.