日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
双孔式人工肛門閉鎖術における環状皮膚縫合法の検討
杉本 卓哉三毛 牧夫高 賢樹草薙 洋山田 成寿加納 宣康
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2013 年 74 巻 7 号 p. 1754-1759

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抄録

はじめに:人工肛門閉鎖術は合併症発生率が高く,多くが創部感染である.人工肛門閉鎖術において環状皮膚縫合法の有用性について,従来の一次皮膚縫合法とretrospectiveに比較検討した.方法・対象:2001年1月から2012年7月の間で当院において施行した小腸ストーマと大腸ストーマを含む二孔性人工肛門の閉鎖術84例を,一次皮膚縫合施行群35例と環状皮膚縫合施行群49例に分け,臨床背景,周術期背景,創部感染発生率,術後在院日数に関して比較検討した.結果:小腸ストーマと大腸ストーマの比を含め,両群間で臨床背景や周術期背景に有意差は認めなかった.表層性の創部感染発生率および術後入院日数は環状皮膚縫合法施行群で有意に低かった.環状皮膚縫合法の創は約1カ月で小さな瘢痕となった.考察:人工肛門閉鎖術における環状皮膚縫合法は表層性の創部感染を減少させ,整容性も高く,優れた方法であると考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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