日本臨床外科学会雑誌
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症例
孤立性脳転移再発した直腸癌の1例
河合 朋昭小林 篤寿長佐古 良英小林 清二高橋 学小笠原 和宏
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キーワード: 直腸癌, 脳転移, 外科的切除
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2013 年 74 巻 7 号 p. 1760-1764

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抄録

症例は60歳,男性.直腸癌(RSRa,circ,type 2,65×65mm)に対して直腸低位前方切除術を施行.病理組織診断は中分化腺癌でSS,N0,ly0,v1,Stage IIであった.術後補助化学療法は施行せずに経過観察中であった.半年経過時の胸腹部CT検査では転移再発所見を認めなかったが,術後7カ月頃より記銘力低下が出現.脳CTおよびMRI検査で右前頭葉に約3cm大の腫瘍を認めたため,孤立性脳転移の診断で直腸癌手術から9カ月後に脳腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的に直腸癌の脳転移と診断された.術後放射線照射は施行せず,全身化学療法としてUFTを1年間内服したのち,経過観察中であるが脳腫瘍術後50カ月無再発生存中である.一般に大腸癌脳転移は他臓器転移合併例が多く,予後不良である.外科的切除後長期無再発生存が得られた稀な直腸癌術後孤立性脳転移症例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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