霊長類研究 Supplement
第40回日本霊長類学会大会
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ポスター発表
霊長類の生息地を訪問するフィールドツアーの実践と評価
赤見 理恵新宅 勇太江藤 彩子高野 智
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 92

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抄録
動物園が「自然への窓」としての役割を果たすためには、動物園内の活動だけでなく、来園者を自然へいざなう活動も重要である。日本モンキーセンターでは連続講座受講生から有志を募り、霊長類の生息地を訪問するフィールドツアーを開催してきた。一般的な観光旅行とは違い、動物園を拠点とし学習意欲の高い参加者を対象とするため、①長期調査地となっているフィールドを訪問し研究者の協力を仰ぐこと(以下、研究者)、②事前に説明会や観察会などをおこなうこと(以下、事前学習)、③ツアー後に発表の場を設けること(以下、発表)、の3点を全ツアーで実施した。本研究ではこれらの実践をもとにツアー参加者の満足度に関わる要因を検証した。過去10年間に開催した全7回(幸島3回、ボルネオ1回、金華山1回、屋久島2回)のツアー最終日におこなったアンケートへの回答(自由記述)を用い、上記3点に関する記述の有無と、ほかに多く見られる記述があったかを調べた。参加者はのべ66名で、アンケートの回収率は86%だった。上記3点のうち最も多かったのは回答者中68%で記述された①研究者で、「研究者の解説がすばらしかった」「研究の苦労や意義がよくわかった」などの回答があった。次に多かったのが14%の②事前学習で、紹介された書籍で学習できたという回答もあった。③発表の記述は1件もなかった。これはツアー終了後に発表準備を開始したため、回答時にはまだ意識されていなかったためと考えられる。上記3点以外で多く見られた記述は、霊長類以外の生物や生息環境、地域文化に触れることができたといった回答が35%、同じ興味を持つ参加者同士や同行スタッフとの交流がよかったといった回答が28%だった。フィールドツアーの評価には参加者満足度のほか、安全性や教育効果、博物館活動へのフィードバックの有無などの視点も必要である。今後はこれらの視点も加え、評価改善していきたい。
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