2013 年 74 巻 7 号 p. 1941-1945
転移性陰茎癌は主に前立腺・膀胱・直腸など近接する臓器からの転移の報告例があるが結腸癌からの転移は稀である.症例は75歳の男性.盲腸癌同時性肝転移・肺転移で回盲部切除術(Tub2,se,n1,stege IV)施行.術後10カ月の化学療法施行中に陰茎の痛みを自覚し触診上約2cm大の弾性硬な可動性に乏しい腫瘤を触れた.造影MRI検査にて陰茎海綿体に直径2cm大のリング状に増強効果示す腫瘍性病変を認めた.生検の結果,腺癌であり,免疫染色にてCK7陰性,CK20陽性を認め,盲腸癌からの転移と診断された.患者本人は化学療法を継続する意思はなく,疼痛緩和目的でオキシコドン内服,放射線療法,クモ膜下サドルフェノールブロックを行い一時症状の軽快を見るも陰茎転移の診断後4カ月後永眠された.本邦における結腸癌陰茎転移は1963年から2012年の間に自験例を含め6例のみの報告であったため,貴重な症例と思われ報告した.