抄録
目 的
第2子を迎え入れる母親に対し,2人の同時育児への適応を促すために,妊娠期における準備教育プログラムを開発し評価する。
対象と方法
準備教育プログラムは,ADDIEモデルを方法論的枠組みとし,先行研究を基盤にニーズ分析および目的と構成を考案し開発し,第2子妊娠中の母親に対し準備教育プログラムを実施した。便宜的標本抽出による準実験研究により介入群と対照群の2群を設定し,介入前後に自己記入式質問紙調査により,第2子妊娠中の母親の育児意識の『母親から見た第1子の様子』『2人の同時育児に対する意識』および『子ども観尺度』を評価した。
結 果
第2子妊娠中の母親の年齢は30歳未満11名,30~35歳未満24名,35歳以上24名であった。第2子妊娠時の第1子年齢は4歳未満48名,4歳以上11名であった。介入群(n=31),対照群(n=28)の二元配置分散分析の結果,『母親が認識している第1子の様子』の「第1子は第2子の抱っこをするという」(p<.05)において介入群に有意に増加し,第1子が第2子に関心を示す行動が強化された。『2人の同時育児に対する意識』の「2人同時育児の肯定感」(p<.05),「2人同時育児のイメージ化ができている」(p<.05)において介入群に有意に増加し,2人の育児に対してポジティブに捉えていた。一方,「2人同時育児の負担感」(p<.05),「第2子出産で行動が制限されるようになった」(p<.05),「気持ちを休めることができない」(p<.05)において介入群に有意に低下した。
結 論
第2子を迎え入れる母親に対する準備教育プログラムは,第1子に対する理解を高め,母親の育児意識に対しポジティブな影響を及ぼし,2人の同時育児の適応を促すための経産婦に特化したプログラムとして有効であることが示された。