日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後17年目の直腸転移に対してホルモン療法が奏効した乳腺浸潤性小葉癌の1例
長谷川 聡杉政 奈津子椎野 王久樋口 晃生中山 崇池 秀之
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2091-2095

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抄録

乳癌の消化管転移は比較的まれとされている.術後17年目に直腸に転移した浸潤性小葉癌に対してホルモン療法が奏効した1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は67歳,女性.1993年9月左乳癌のため胸筋温存乳房切除術を施行された.術後病理診断はT2N1M0 Stage IIB,浸潤性乳管癌,硬癌,ly:+,v:+,リンパ節転移(3/9)であった.2010年11月便秘が出現し近医を受診し直腸狭窄が疑われ当院紹介受診となった.注腸検査では下部直腸に全周性の狭窄を認めていた.大腸内視鏡では狭窄部位の粘膜は悪性所見がなかったため,粘膜下の針生検を行った.平滑筋束間にびまん性に浸潤する小型細胞を認め,免疫染色の結果から乳癌由来で浸潤性小葉癌と診断された.2010年12月よりレトロゾールを開始したところ,直腸狭窄は改善した.治療開始2年現在,人工肛門を造設することなく外来通院中である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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