日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆石イレウスにて発症した胆嚢胃瘻の1例
渡辺 伸元松永 和哉神谷 里明山中 秀高松永 宏之川井 覚
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2013 年 74 巻 8 号 p. 2272-2275

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抄録

胆嚢消化管瘻は比較的まれな疾患であるが,特に胆嚢胃瘻はまれである.今回われわれはイレウスを契機に発見された胆嚢胃瘻の1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.症例は82歳,男性.近医で胃潰瘍の診断を受け抗潰瘍薬を内服していた.嘔吐,心窩部痛を主訴に近医受診し,腸閉塞の疑いで当院紹介となった.腹部CTでは委縮した胆嚢内にairと石灰化を認めた.小腸は拡張し,その先進部には卵殻状石灰化を伴う楕円形の異物を認め,胆嚢消化管瘻,胆石イレウスと診断した.高度の脱水と電解質異常を認めたため,イレウス管を挿入し保存的治療を試みたが改善なく第6病日手術を行った.回腸に5×3cm大の結石が嵌頓しており,回腸切開により結石を摘出した.胆嚢は胃幽門部と肝円索に挟まれるようにして癒着し,胃と瘻孔を形成していた.胆嚢胃瘻と診断し,瘻孔を含めて胆嚢摘出,胃側は縫合閉鎖し大網被覆した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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