日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
精神疾患の治療歴を有する食道アカラシア症例の検討
柴田 智隆片田 夏也根本 昌之桜本 信一渡邊 昌彦
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2013 年 74 巻 9 号 p. 2355-2358

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抄録

食道造影検査および上部消化管造影検査で異常を指摘できない摂食障害が精神的な疾患と診断され,食道アカラシアと診断されるまで長期間を要する場合もある.精神疾患としての治療歴を有する食道アカラシア症例を検討し,食道アカラシアの診断の困難さを明らかにする.
1997年10月から2010年5月に腹腔鏡下アカラシア手術を施行した65例を対象とした.
65例中15例(23%)では少なくとも一度は上部消化管内視鏡もしくは造影検査を行われていたが,異常なしと診断されていた.このうち6例で精神疾患としての治療歴を有していた.精神疾患としての治療歴を有する症例は著明な食道拡張を伴わないclassical typeの食道アカラシアであった.
上部消化管内視鏡検査および上部消化管造影検査で異常を認めない嚥下障害,摂食障害症例では機能性疾患を念頭に置き,食道内圧検査を行うことが重要である.

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© 2013 日本臨床外科学会
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