日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃切除術後17年目に発症した特発性十二指腸水平脚穿孔の1例
伊藤 元博
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2013 年 74 巻 9 号 p. 2482-2485

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抄録

患者は84歳,女性で,17年前胃癌にて胃切除(Billroth-II再建)を施行された.昼食後突然の上腹部痛が出現し,近医を受診した.その後嘔吐が出現し,翌日当院を紹介受診した.右上腹部に圧痛,筋性防御,反跳痛を認め,血液検査所見で炎症反応の上昇を認めた.また,腹部造影CT検査で十二指腸水平脚の尾側に腹腔内遊離ガス像と液体貯留を認めた.以上より発症26時間後に十二指腸水平脚穿孔と診断し緊急手術を施行した.開腹すると腹腔内に茶褐色の腹水を約300ml認め,十二指腸水平脚下壁にピンホール大の穿孔部位を認めた.穿孔部位に憩室,潰瘍性病変は認めず,手術は単純縫合閉鎖,十二指腸減圧チューブ,腹腔ドレナージを施行した.術後30日目に軽快退院した.本症例は潰瘍,輸入脚閉塞症,憩室,魚骨,外傷,腫瘍などによる二次的な要因は認めず,特発性十二指腸穿孔と考えられた.

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© 2013 日本臨床外科学会
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