抄録
症例は73歳の男性で,夕食直後の急激な腹部膨満と右下腹部痛を自覚し救急外来を受診した.腹部造影CTにて門脈ガス血症と上腸間膜動脈起始部に約2cmに渡る造影不良域を認めたが腸管壊死所見は認めなかったため保存的に加療を行った.後日精査にて上腸間膜動脈慢性閉塞に伴う回腸末端部の重度の虚血性小腸炎と診断し,待機的に回結腸動脈の血行再建術を行った.術後6カ月に渡り外来にて経過観察中であるが摂食後の腹痛や下血等の症状なく経過している.門脈ガス血症を呈した重度の虚血性小腸炎の報告例はまれであり治療法についてはいまだに確立された見解はないが,治療には腸間膜血流の維持が重要であると考えられている1).主幹動脈に閉塞を認める重症虚血性小腸炎患者に対し腸間膜動脈血流の維持を目的とした血行再建は加療の一つの選択肢となりえるものと思われたため文献的考察を加えて報告する.