日本臨床外科学会雑誌
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症例
保存的治療後に小腸狭窄を繰り返した非閉塞性腸間膜虚血症の1例
若田 幸樹梶原 啓司草場 隆史重政 有碇 秀樹米満 伸久
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2013 年 74 巻 9 号 p. 2491-2496

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抄録

症例は66歳女性で,エアロビクス中に上腹部痛が出現し当院を受診した.腹部CT検査で肝両葉に樹枝状に広がる門脈内ガス像を認めた.しかしCT検査直後に腹痛が消失し,画像上も明らかな腸管壊死を認めなかったため保存的加療の方針とした.翌日のCT検査で門脈内ガス像はほぼ消失していた.その後は経過良好であったが,第29病日に腹痛が出現し,画像検査で回腸狭窄を認めたため回腸部分切除術を施行した.術後は順調に経過し第48病日に軽快退院した.5カ月後,スカッシュ中に再度上腹部痛が出現し,前回同様に上腸間膜静脈内ガス像を認めた.受診時ショックバイタルを認め,緊急手術を施行したが腸管虚血・壊死を認めず試験開腹で終了した.術後経過は良好であったが,前回吻合部近傍の回腸狭窄を認め,第49病日に回腸部分切除術を施行した.保存的加療で軽快後に虚血に起因する腸管狭窄を繰り返した稀な非閉塞性腸間膜虚血症の1例を経験した.

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© 2013 日本臨床外科学会
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