抄録
大腸の悪性リンパ腫は大腸の悪性腫瘍全体の0.1-0.7%とまれな疾患である1).今回,腸重積の診断で緊急手術を施行した大腸悪性リンパ腫の症例を経験した.症例は75歳男性で腹痛と下血を主訴に当院を受診した.右下腹部に圧痛があり,眼瞼結膜に貧血を認めた.腹部造影CTにて上行結腸内に陥入した腫瘤性病変を認めた.盲腸腫瘍の腸重積と診断し,高度の下血も伴っていたため,緊急手術を施行した.手術所見で回盲部が重積しており腫瘤を触知し,周囲リンパ節は腫大していた.切除標本で回盲弁を挟むように隆起性病変が存在した.病理組織学的検査所見でびまん性大細胞型B細胞性悪性リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma)と診断した.術後化学療法を再発予防で施行し,術後1年3カ月無再発生存中である.大腸悪性リンパ腫の成人腸重積は極めてまれであり,文献的考察を含めて報告する.