抄録
55歳の女性.検診にて腹腔内腫瘤を指摘され当院へ紹介された.触診で左上腹部に手拳大で可動性不良の硬い腫瘤を触れた.腹部超音波では境界明瞭,内部エコー不均一な充実性腫瘤として認め,CT所見では80×70×45mm大の境界明瞭,造影効果の乏しい腫瘍であった.原発不明の腹腔内腫瘍との術前診断のもとに,腹腔鏡下に切除術を施行した.腫瘍は横行結腸間膜と茎状に連なる形で存在し,周囲組織への浸潤は認めなかった.摘出標本では割面が白色調の充実性腫瘍であった.病理所見では免疫染色にてc-kit,CD34が陰性,抗平滑筋アクチン染色が陽性であり腸間膜原発の平滑筋腫と診断された.腸間膜平滑筋腫は極めて稀な疾患であり,良悪性の鑑別が難しく,組織学的所見が生物学的悪性度とは必ずしも一致しない.術後2年以上経過するが再発兆候は認めていない.今回,横行結腸間膜原発の平滑筋腫の1切除例を経験したので文献的考察を含め報告する.