日本臨床外科学会雑誌
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症例
大腿輪をヘルニア門とした膀胱ヘルニアの1例
原田 真吾阿部 哲夫久保 博一長田 俊一長谷川 誠司小尾 芳郎
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2013 年 74 巻 9 号 p. 2610-2613

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抄録

症例は83歳,女性.以前より右鼠径部の膨隆を自覚していた.右鼠径部膨隆が急速に増大し,用手的に整復困難なため当院を受診した.既往歴は41歳時,右大腿ヘルニア根治術.来院時,右鼠径靱帯尾側に表面平滑,弾性軟,鶏卵大の無痛性腫瘤を触知した.用手的還納は困難であった.腹部CT検査で膀胱の右前壁が右大腿静脈内側から尾側方向に突出していたため,大腿輪をヘルニア門とした膀胱ヘルニアと診断し,根治手術を施行した.手術時所見で膀胱が大腿輪より滑脱していた.膀胱を骨盤側に還納後,大腿ヘルニア根治術を施行した.術後経過良好で術後12日目に退院した.術後1年経過するが再発は認めていない.今回われわれは大腿輪をヘルニア門とした膀胱ヘルニアの1例を経験したので報告する.

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© 2013 日本臨床外科学会
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