日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹膜から発生したlipoleiomyomaの1例
渡邉 佑介小島 康知松川 啓義塩崎 滋弘大野 聡二宮 基樹
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キーワード: 脂肪平滑筋腫, 腹膜
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2013 年 74 巻 9 号 p. 2614-2618

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抄録

Lipoleiomyomaは多くが子宮発生の良性腫瘍であり,腹膜からの発生は非常に稀である.今回われわれは,腹膜から発生したlipoleiomyomaの1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は65歳,女性.肺癌術後のPET-CTにて骨盤腹側に卵円形腫瘤を指摘され,精査目的に当院外科紹介.CT・MRIにて,65mm大の脂肪成分の混在が示唆される充実性腫瘤が認められた.またPETでもFDGの異常集積は認めなかったが,悪性の可能性も否定出来ないため腫瘤摘出術を施行した.手術所見は腹膜由来と考えられる腫瘤であり,腹腔内臓器に異常は認めなかった.病理組織診断にて平滑筋細胞の交錯する束状の増殖巣に,部分的に脂肪細胞群の増殖巣が不規則に混在したlipoleiomyomaと診断された.腹膜発生の報告例はPubMedで検索し得る範囲では3例,本邦においては検索し得なかった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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