日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後早期に肺・肝転移をきたした下部胆管原発腺扁平上皮癌の1例
鈴木 文武伊藤 隆介藤岡 秀一岡本 友好矢永 勝彦福永 眞治
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2014 年 75 巻 1 号 p. 219-222

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抄録

症例は75歳,男性.2013年1月上旬より黄疸を自覚され近医受診したところ,肝機能障害を認めたため当院紹介受診となった.腹部CT検査にて下部胆管から両側肝内胆管の拡張と下部胆管内に軟部濃度域を認めた.腹部MRI検査では下部胆管にT1WI軽度低信号,T2WI等信号,DWI高信号を呈する腫瘍性病変を認めた.ERCPでは,下部胆管に約52mm長の表面不整な狭窄像を認めた.この際に施行された腫瘍生検でgroup3であった.下部胆管癌の診断にて,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.最終病理組織診断は,下部胆管腺扁平上皮癌pT4(Panc2)N0M0 fstage IV a,D2,根治度Aであった.術後4カ月目のCT検査にて,肺および肝に多発する転移巣を認め,現在加療中である.胆管原発の腺扁平上皮癌は,胆管癌の組織型としてはまれであり,早期に転移をきたすことからその悪性度の高さが指摘されている.化学療法を含めた集学的治療の開発が急務であると考えられた.

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