日本臨床外科学会雑誌
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症例
Weekly paclitaxelが有効であった乳癌骨髄転移の1例
吉富 誠二辻 尚志賀島 肇宮原 一彰安部 優子大原 信哉
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2014 年 75 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

症例は59歳,女性.右乳房腫瘤・咳嗽・呼吸苦を主訴に当科外来を受診した.右乳房に皮膚の発赤と浮腫を伴う不整形腫瘤を認めた.針生検では浸潤性乳管癌(硬癌),ER:90%以上,PgR:20%,HER2(1+),Ki-67:30%であった.血液生化学検査ではHb 8.7g/dl,PLT 5万/μlと貧血と血小板減少があった.CT検査では肋骨・椎体・骨盤に多発性骨転移,また両肺に多発性肺転移があった.骨髄生検では不整な核を有する細胞の集塊があり,乳癌の骨髄転移と考えた.Weekly paclitaxel投与を行い,骨髄抑制等の有害事象はなく治療可能であった.5クール後にはHb 11.8g/dl,PLT 31.0万/μlに回復し,CT検査では右乳腺腫瘤・右腋窩リンパ節転移・多発性肺転移は著明に縮小した.貧血と血小板減少をきたした乳癌骨髄転移に対してweekly paclitaxelが有効であった1例を経験したので報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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