日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳癌術後脾転移の1例
廣中 愛山口 正秀大陽 宏明谷 直樹野口 明則山根 哲郎川端 健二
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キーワード: 脾転移, 乳癌, 脾摘出術
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2014 年 75 巻 1 号 p. 40-44

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抄録

再発乳癌の転移は骨,肺,あるいは肝臓に好発し,脾転移はまれである.臨床的に脾転移が指摘される場合,多臓器に転移が指摘される.われわれは,乳癌術後に孤立性脾腫瘍を発見し,診断治療目的に脾切除を行い,乳癌の脾転移と判明した1例を経験したので報告する.
症例は68歳女性.2005年8月,左乳癌T1N0M0,Stage Iで左乳房部分切除術と腋窩リンパ節郭清術を施行した.術後5年4カ月の血液検査でCA15-3が基準値を超え始めたが,画像検査で積極的に再発を疑う病変を認めなかった.腫瘍マーカーは徐々に増加し,精査のFDG PET/CT検査で脾臓に異常集積を伴う充実性腫瘤が指摘された.孤立性脾腫瘍の原発性悪性腫瘍は非常にまれで,本症例では脾転移が疑われた.乳癌の孤立性脾転移は極めて珍しいため,診断治療目的に脾摘出術を施行した.脾転移の診断で化学療法を行ったが,術後7カ月で腹膜再発を認めた.

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© 2014 日本臨床外科学会
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