日本臨床外科学会雑誌
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症例
治癒切除から11年後に癌性腹膜炎をきたした肺癌の1例
正村 裕紀大谷 嘉己船井 哲雄相山 健
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キーワード: 晩期再発, 肺癌, 癌性腹膜炎
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2014 年 75 巻 1 号 p. 73-76

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抄録

原発性肺癌治癒切除後の再発は比較的早期に起こることが多く,術後5年を経過して再発するのは稀である.今回,肺癌治癒切除11年後に癌性腹膜炎で再発した症例を経験したので報告する.症例は71歳,男性.60歳で肺癌のため左上葉切除郭清術を施行し,術後9年間外来通院したが再発を認めず終診とした.術後11年目に腹部違和感を自覚した.症状が改善しないためCT検査を行ったところ,癌性腹膜炎が疑われた.穿刺腹水細胞診の結果は腺癌であり,免疫染色で肺癌の転移が疑われた.確定診断のため,開腹生検を行ったところ腹腔内に無数の結節を認め,小腸と左側結腸に腹膜播種による狭窄が多発していた.播種巣の病理所見も,11年前の肺癌の免疫染色結果と一致し,形態も酷似しているため肺癌の腹膜播種と診断した.再発の診断後8カ月で原病死した.

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© 2014 日本臨床外科学会
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