日本臨床外科学会雑誌
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症例
Douglas窩に生じた脂肪平滑筋腫の1例
岡本 健小林 道也前田 広道福留 惟行駄場中 研花崎 和弘
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2014 年 75 巻 11 号 p. 3164-3168

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抄録

骨盤内に発生する平滑筋腫は子宮筋腫の頻度が最も高く,その他の組織から発生することは稀である.今回,われわれはDouglas窩の腹膜から発生したと考えられる平滑筋腫の中でも稀な脂肪平滑筋腫の1例を経験したので報告する.症例は59歳の女性.子宮筋腫の経過観察中に新たな腫瘤を認め紹介となった.CTでは約9×4cm大の境界明瞭な腫瘤を子宮背側に認め,腫瘤内部は低吸収で造影効果に乏しく周囲臓器への浸潤を疑わせる所見を認めなかった.手術所見では,Douglas窩に薄い被膜に包まれた柔らかい腫瘍を認め,腫瘍は子宮頸部に連なる血管と膜を有していたが,子宮および周囲組織との直接的な連続性は認めなかった.病理組織では大半を脂肪細胞が占め,間質の紡錘形細胞はh-caldesmonとERが陽性,PgRやMDM-2,HBME1は陰性であった.以上よりDouglas窩の腹膜に生じた脂肪平滑筋腫と診断した.

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© 2014 日本臨床外科学会
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