抄録
内肛門括約筋切除術(ISR)を施行した下部直腸癌93例を検討した.男性69例と女性24例,年齢は平均61歳,進行度はStage別にそれぞれ(0/I/II/III/IV)=(3例/33例/18例/29例/10例)であった.87例(94%)でストマ閉鎖を完了した.ISR後の予後は無再発生存率73%,再発率18%(局所再発率7.2%)で,Stage IIIbの再発率は50%であった.12例に術前化学放射線治療が施行され,組織学的効果判定ではgrade 1a:2例,1b:4例,2:6例で無効例はなく,Stage IVを除く9例中8例が無再発生存中である.ストマ閉鎖後のWexnerスコアは,閉鎖後1カ月までは平均11.6で,その後3カ月で8.6に下降し,6カ月で4.6となり,男女差と術前照射の有無ではスコアの差を認めなかった.6カ月を経過した時点でほぼ全例で「日常生活の制限なし」との回答が得られた.