日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後長期間画像追跡した大動脈炎症候群による異型大動脈縮窄症の1例
伊藤 学夏秋 正文大坪 諭古川 浩二郎森田 茂樹
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3259-3264

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抄録

大動脈炎症候群を合併した異型大動脈縮窄症に対する手術の長期遠隔の1症例.
異常高血圧を合併した異型大動脈縮窄症に対して,上行大動脈-腹部大動脈バイパス手術の長期遠隔を検討した.手術時年齢は44歳の女性であり,診断当初の右上肢の収縮期血圧は300mmHgの異常高血圧であった.上肢の降圧と心負荷を目的に手術となった.手術は胸骨正中切開と腹部正中切開のもと,人工血管(Gelseal 16mm)による上行大動脈-腹部大動脈のバイパス手術を施行した.人工血管のルートは横隔膜を貫通し網嚢を通過させ,腹部大動脈にて人工血管の末梢吻合を行った.さらには鎖骨下動脈バイパス手術を,Gore-Tex人工血管を用いて行った.術後の右上肢の血圧は徐々に低下し,術後10年の経過にて安定してきた.本例は大動脈炎症候群に合併した異型大動脈縮窄症であり,現在プレドニゾロン6mgの内服にてコントロール中である.術後21年目の造影CTでは,人工血管の開存は良好であり吻合部動脈瘤など見られなかった.

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© 2014 日本臨床外科学会
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