日本臨床外科学会雑誌
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症例
胃癌術後20年目にPetersenヘルニアにて小腸壊死をきたした1例
上原 拓明友利 健彦豊見山 健野里 栄治永吉 盛司大嶺 靖
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2014 年 75 巻 12 号 p. 3278-3283

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抄録

症例は81歳の男性.20年前に胃癌に対して開腹下胃全摘術,結腸前経路Roux-en-Y再建術の手術既往があった.1カ月前より間欠的な右上腹部痛を自覚しており,増強したため当院を受診した.CT検査でclosed loop obstructionを伴う小腸拡張を認め,絞扼性イレウスの診断で,緊急開腹手術を施行した.開腹すると,Treitz靱帯からY脚吻合部までの小腸が,挙上空腸と横行結腸間膜の間隙(Petersen's defect)に嵌頓していた.同部位の壊死が疑われたため,小腸部分切除して吻合再建を行った.Petersen's defectは縫合閉鎖した.術後経過は良好であった.胃癌術後のPetersenヘルニアは比較的稀であり,自験例のように術後20年で発症し小腸壊死に陥った本邦報告は認めなかった.若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2014 日本臨床外科学会
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