2014 年 75 巻 3 号 p. 657-661
症例は70歳,男性.50歳頃から反復する鼻出血を自覚していた.6年前の検診時の胸部X線検査で左中肺野の腫瘤影を指摘されるも放置していた.某日,呼吸困難を主訴に当院循環器科を受診した.来院時の血液検査で反復する鼻出血によるHb 3.4g/dlと高度貧血を認め,腫瘤影の増大と貧血,右心不全によると考えられる両側胸水を認め,心エコー検査にて右室圧50mmHgと高値であった.また,3D-CTにて左上葉に約6cm大の肺動静脈瘻を認めたため手術目的に当科へ転科となった.家人にも反復する鼻出血が認められ,Rendu-Osler-Weber病(以下ROW)が強く疑われ,ROWに合併した肺動静脈瘻と診断した.手術は左後側方開胸下に左上葉切除術を施行し,術前Hb 3.4g/dlであった貧血も術後退院時には11.2g/dlまで回復し,術前SaO2も93%から97%(室内気)と改善し,第7病日退院となった.