抄録
症例は72歳,男性.約2年前より通過障害が出現し,10カ月前からは夜間の胸やけ,咳嗽が伴うようになった.近医で内視鏡検査を施行し食道内に多量の食物残渣を認め,精査加療目的に当科に紹介受診した.当科で施行した食道造影検査で食道胃接合部より口側12cmに5×4cmの嚢状の憩室が確認された.上部内視鏡検査では,多量の食物残渣を伴った憩室が確認され食道内腔は狭窄していた.以上の所見から胸部中部食道憩室と診断し,症状を伴っていることから手術適応とし,胸腔鏡補助下憩室切除術を施行した.術中所見からは牽引性憩室が疑われたが,病理所見と憩室の性状からは圧出性憩室と判断された.総合的に,牽引・圧出混合性憩室と診断した.中部食道憩室はそのほとんどが炎症性の牽引性憩室であるため,混合性憩室はまれである.また,今回われわれは,術中経口内視鏡を用いることで,安全かつ効率的に胸腔鏡補助下憩室切除術を施行しえた.