日本臨床外科学会雑誌
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症例
高分化型脂肪肉腫と低悪性度骨肉腫とが併存した5.5kgの腹膜外腫瘍の1例
松村 尚美宮崎 健介須藤 隆一郎日高 匡章善甫 宣哉亀井 敏昭
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2014 年 75 巻 3 号 p. 830-834

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抄録
症例は60代,男性.増大する腹部腫瘤と腹部膨満を主訴に前医受診.巨大な腹部腫瘤を指摘され当院紹介となった.腹部全体に可動性のある腫瘤を触知し,CTでは下腹部を中心に30cm大の石灰化を伴う軟部陰影腫瘤を認め,腸管は頭背側に圧排されていた.MRIではT1強調・T2強調ともに高信号領域と低信号領域とが混在していた.巨大腹腔内腫瘍の術前診断で手術施行した.術中所見では,腫瘍は腹膜外に位置し膀胱前腔まで及んでいた.腸管を含め腹腔内臓器に浸潤はなく圧排のみで,肉眼的遺残なく切除した.腫瘍は32×25×14cm,5,500gで,割面は黄色の脂肪成分部分と白色の石灰化部分が混在していた.病理組織検査では,脂肪成分には成熟脂肪細胞と共に核異型を呈する脂肪細胞の増生,石灰化成分には細胞異型を有する骨芽細胞を認めた.いずれもMDM2染色陽性で,低悪性度骨肉腫を伴った高分化型脂肪肉腫と診断した.
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© 2014 日本臨床外科学会
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