2014 年 75 巻 4 号 p. 1050-1055
61歳,男性.上腹部痛を主訴に当院受診.精査にて胆嚢・総胆管結石による急性胆管炎の診断で入院.入院後ESTを施行し総胆管結石を採石し,内視鏡的経鼻胆管ドレナージにて症状は軽快した.胆嚢結石に対して胆嚢摘出術を予定したが,術前画像でB5胆管が胆嚢体部に合流する胆嚢肝管(cholecytohepatic duct:CHD)を認め,合流部より胆嚢管側で結石が嵌頓しB5胆管が限局性に拡張していた.開腹するとB5胆管が胆嚢体部に合流しており,B5を合流部にて切離した後に胆嚢管に嵌頓した結石の中枢側で胆嚢管を切離した.胆嚢管が比較的長くB5胆管と端々吻合が可能であったため,ステントチューブを留置してB5胆管と胆嚢管を吻合して胆道再建.術後経過は良好で術後1年目の血液検査では異常所見なく画像上もB5胆管の狭窄は認めていない.われわれの検索した範囲では胆嚢肝管に対して亜区域胆管枝と遺残胆嚢管吻合による再建法は本例が初と思われた.