2014 年 75 巻 4 号 p. 982-986
症例は85歳,女性.Parkinson病にてほぼ寝たきりの状態であった.2011年12月,誤嚥に伴う呼吸不全にて当院救急外来受診.CTにてS状結腸軸捻によるイレウスと診断,大腸内視鏡によりS状結腸壊死を疑い,緊急手術を施行.腸回転異常は認めずS状結腸切除術を施行した.術後経過は大きな問題なく軽快退院となった.2012年6月,腹痛・呼吸不全にて再度当院受診.盲腸軸捻と診断し再手術,右結腸切除術を施行した.術後は人工呼吸器管理などを行ったが軽快退院となった.結腸軸捻の基礎疾患として神経性疾患の合併は報告されているが,腸回転異常がなく,異なる部位で軸捻を繰り返した報告はほとんど見られない.短期間での異時性のS状結腸および盲腸軸捻を経験したので文献的考察を加え報告する.